桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第19章 日傘の贈り物【宇髄天元】※完結しました。10/19
「はぁ…。」
「………。」
「はぁ……。」
「…………。」
「はぁ…………。」
「だぁあああああ!!何なんですか!?そのため息は!!会社に来るなりため息ばっかり吐くのやめてくれません?!」
前のデスクでめずらしく真面目に仕事をしていたのは善逸だ。
しかし、その言葉に自分がため息ばかり吐いていたことを気付かされた。
「…ため息…吐いてたか?」
「ええ!吐いてました!吐いてましたとも!少なくとも35回は吐いてました!!」
「数えてたのか?気持ち悪い奴だな。」
「はぁああああ?!いつもド派手にうるさい人が静かだから気にしてあげてたのにぃい!?」
「そりゃドーモ。何でもねぇよ。」
いつもうるさいは余計だが、そのため息の理由に心当たりがあった俺はそう言うしかなかった。
理由は簡単だ。
数週間前、好意を寄せていた女に告白の前にキスをぶちかましてしまった。
嫌がっていなかったとは思う。
だけど、告白もしていないのに先にやらかしてしまったことには間違いない。
(…ヤらなかっただけマシだけどよ…)
正直、危なかった。
カップラーメンが無かったら危うく押し倒してしまうところだった。あっちだって処女じゃないだろうし、家に上げるくらいだから少なからず嫌われてはいない。
だが、あそこでキスを先にしちまったことで完全に気まずい関係になってしまったのは間違いない。
本当ならばあの日、そろそろ連絡先を教えてもらおうと思っていた。
何度も会っているのに未だに連絡先を知らなかった俺はあの日から少しずつ距離を縮めたいと考えていたのだ。それなのに蓋を開けてみれば、酒の力も相俟って口付けてしまったのだ。
(…あんまりにも可愛い顔すっからなぁ…。)
昨日のことのような顔思い出されるアイツの艶っぽい表情に唸り声をあげてしまう。