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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第19章 日傘の贈り物【宇髄天元】※完結しました。10/19





「何分ですか?」

「んー…と、3分だな。」

「わーい。楽しみですね!」


元はと言えば私が料理を振る舞う予定だったので完全に誤算だったが、これはこれで良い思い出だ。


「こういう時間って長く感じますよねぇ…。待ち遠しくてついつい早く開けちゃうんです。」

「ハハッ!確かにな。」

「でも、今日は宇髄さんのおかげで楽しかったです。来年も…一緒に見たいなーなんて…ふふ。」



今日、花火を共に見ることになったのは偶然。
二度目があるとすれば偶然では済まされない。
それでも一緒の時間が居心地が良くてうっかり本音がまろび出てしまった。

隣にいる彼を見ることもできずにカップラーメンを凝視するしかできない私は臆病者だ。

やっぱりカップラーメンの3分は長い。
早く時間が過ぎてほしいと思った時、急に腰が引き寄せられたかと思うと遥かに高い位置からふわりと香るアルコールの匂いが鼻を掠めた。


唇には熱くて蕩けるような感触。

それが宇髄さんの唇だと分かるまでに数秒かかってしまった。
でも、すぐに離れてしまったそれが再び唇に押しつけられるとその行為が突発的に起こったことではない気がした。
何度も何度も降ってくるその熱いキスに酔いしれると、どうすべきなのか彷徨っていた手をほんの少し勇気を出して彼の腰に添えてみた。


ちゅ、ちゅ…と永遠にも感じられるそのキスは一体どれくらい続けられていたのか見当もつかない。
代わりにテーブルの上にはすっかり伸びてしまった新作のラーメンが恨めしそうに私たちを睨んでいた。


その日、私は宇髄さんとキスをしてしまった。

しかし、日付が変わる前に彼は何事もなかったかのように帰って行ったため、その行為の"意味"を聞くことはできなかった。

始まったのか始まってないかもわからないそんな曖昧な関係が始まってしまったのは間違いない。



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