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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第19章 日傘の贈り物【宇髄天元】※完結しました。10/19





何で頭が回らなかったのか分かる?
あなたのことで頭がいっぱいだったから。

だから来てくれた時、嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
宇髄さんが本当の彼氏ならいいのにって本気で思ったの。
そんな私の前に差し出されたのは彼の手。
それは小指だけ立てられて私に向けられている。


「ん、約束しろ。次は"彼氏いる"って言って断れよな。」

「はい!約束します。助けてくれてありがとうございました!」


私は迷わずこの小指に自らのを絡ませると宇髄さんに笑顔を向けた。
そうすれば漸く呆れたような顔をしつつも、笑ってくれた宇髄さんに私の顔はさらに綻んだ。




***





「此処です。」

「おー、お邪魔しまーす。」

「どうぞどうぞー。」

宇髄さんとの待ち合わせで15分も時間をロスしてしまったせいで家に到着する間際に"ドーン"と言う花火の音が背後で鳴り響いた。
後ろを振り向きながら何とか家に着くと足早に部屋の中に入ってもらう。

玄関で脱いでくれる靴の大きさに目を見開くが、当たり前だ。彼の身長は今まで生きて来た中で出会った人物の中で誰よりも大きいのだから。

リビングに案内すると「カーテン開ける?」という宇髄さんに頷いてみせる。
一緒に花火を見たいのは山々だが、今から手料理を振る舞う約束をしているのだ。
突然、家に招くことを思いついてしまったので下拵えなどしていないし、せっかく来てもらったのだ。女子っぽいことをして、宇髄さんに少しでも女として見てもらいたい。


「…?何してんの?早く来いよ。」

「え?」


しかし、キッチンに向かう私の後ろ姿に声をかけて来たのは招いたばかりの彼で、不思議そうにこちらを見ている。




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