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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第19章 日傘の贈り物【宇髄天元】※完結しました。10/19






彼との約束の時間は18時半。

侮っていたが、この駅自体が花火大会の最寄駅なのだ。いつもそこまで多くない人通りが今日はごった返していて、誘ったことに若干後悔をし始めていた。
よく考えたらこの人混みを抜けて我が家に向かわなければならないのは変わらない。
宇髄さんに結局は避難場所である家に着くまでは同じ想いをさせるのだ。


後悔でため息を吐きつつ、改札の近くで待っているとツンツンと肩を突っつかれた。
宇髄さんかと思って振り返ってみるとそこにいたのは全く知らない男の人たち。


満面の笑みで振り返ったことに後悔をしつつ、冷静に「何ですか?」と返すと軽薄な笑いを向けられた。


「やっぱ可愛いじゃん!さっきから此処で一人で誰か待ってるの?友達?」

「オレらもさ、二人だから友達と一緒に花火見にいかない?」


どうやら私が待っているのが女友達だと思っているようだ。
確かに私はスーツだし、辺りを歩いている煌びやかな浴衣の女の子とはわけが違う。こんな格好で待ってる相手が"彼氏"だなんて思わないだろうし、相手は彼氏ではない。


「あ…えと、結構です。私、待ち合わせしてるので…。」

「うん、だからそのお友達も一緒にさ?」

「そうそう!君の友達ならきっと美人さんだろ?大歓迎ー!」



確かに直ぐに言わない私も悪いとは思うけど、決めつけられるのも何だか癪に障る。私は女友達を待っているわけではないのだ。
ふと改札に設置されている時計を見遣ればすでに18時半は過ぎていて45分になろうとしている。


(…ひょっとして…やっぱり嫌だったのかな…)


宇髄さんは優しいからあの時、私に恥をかかせないためにああ言ってくれただけかもしれない。
一人で楽しみにしていたが、宇髄さん的にはひょっとしたら迷惑だったのかも…。

この人たちをあしらったら、もう帰った方がいいかなもしれないと思い始めた時、私の体が後ろに引き寄せられた。
あまりに急なことで後ろに転びそうになってしまったのに頭に柔らかいものが当たる。


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