桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第3章 ホワイトレディ【トラファルガー・ロー】※
──1年前
「ごめん、。好きな奴が出来た。」
突然、彼氏からそんなことを言われて頭を鈍器で殴られた感覚に陥った。
仕事が忙しくてなかなか会えなくて、久しぶりに会えると思ったらそんなことを言われて、彼に可愛いと言って欲しくて新調した服も靴も全てが宙に浮いたようなそんな気分。
なのに
可愛くない私は強がるしか出来なかった。
「そ、そっか…。わかった。」
「ごめんな。ならすぐに新しい男できるよ。」
私、そんなに強くないよ。
大好きな彼氏に振られて、すぐに他の男なんて見つけられないよ。
"行かないで…。"
その一言が言えない。
それが私の悪いところ。
いつもいつも私は強がって、本音を言えない。
「あ、あはは…。そうかな。
今までありがとう。」
「ああ。元気でな。」
寒空の中、彼の背中を見えなくなるまで見つめていた。
北風が買ったばかりのワンピースの裾を揺らして足は寒さで感覚がなくなっていた。
よく1人で来ていたバーに来ると、マスターがいつものホワイトレディを作って出してくれた。
度数が高いのでサクッと飲んで帰る時に頼むが今日は何度もお代わりをする。
さすがに三杯目を頼んだ時にマスターに怪訝な顔をされた。
「さん、ちょっと飲み過ぎですよ。
違うものにしてください。」
「…もう一杯だけ。」
はぁ〜、確かにこんな飲み方してたらいくら明日夜勤だからって…終わる。
最後のホワイトレディは白くて透き通っていて私の中のドス黒い真っ黒な気持ちとは相反していて、急に悲しくなってきた。
唇を噛んで下を向いていると、隣に座った人の香水の匂いが嗅いだことがありふと顔を上げるとそこには病院一のモテ男と称されるトラファルガー・ロー先生。
私は1人驚いた顔をしていて、溜まっていた涙がそれと同時に握りしめていた手の上に落ちた。
いつも冷静沈着な先生もその私の様子にギョッとしていた。だけど、その姿に何故か安心して涙が止まらなかった。