桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第19章 日傘の贈り物【宇髄天元】※完結しました。10/19
「…おー…マジかよ…最悪じゃねぇか。俺ン家、会場のすぐ近くなんだよなぁ…」
「そうなんですか?私の家はあの高台なので、駅を抜けさえすれば楽勝です!あと、花火も綺麗に見えちゃうんですよー」
「うわ、ずりぃー!!俺も花火見てェわ!揉みくちゃにされながらじゃ見る余裕もねぇよ。」
「え?なら避難ついでに見にきます?本当に綺麗に見えるんですよ〜!」
そう言って指を差すのは自分の家の方向。
高台に位置するその場所ならば確かに花火は綺麗に見えるだろうけど、この女は何を言っているのだろうか。
付き合ってもいない男に「家に花火を見にくるか?」なんて言うということは何されても文句は言えないぞ。
それでもニコニコと微笑みながらそう提案してくる彼女に少しの罪悪感も感じない。
それは自分が男として意識されていないことも同時に露呈して奥歯を噛み締めた。
「…お前なぁ…、男に"家来い"なんて危機管理能力ねぇのかよ。ヤられても文句言えねぇぞ」
「…え?!え、や…、そ、そういうつもりじゃ…!」
脅すつもりでそう言ったのに見る見るうちにトマトみたいに真っ赤に染まった顔でぱくぱくと金魚のように口を開け広げて動揺するソイツ。
男として意識されていないと言うのはどうやら間違っていたらしい。
ただ危機管理能力がないだけだな。コイツは。
「お前な、結構可愛いんだからよ。そうやって隙見せると襲われるぞ。」
「だ、だって…!宇髄さん、は…、安心、というか…!私のことなんて女として見てないでしょ?」
「見てないわけねぇじゃん。お前は女だし、俺は結構可愛いと思ってんだぞ?家なんて行ったら何するかわかんねぇぞ。」