桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第19章 日傘の贈り物【宇髄天元】※完結しました。10/19
「宇髄さん!!」
「おー、はよ。」
いつもの駅、いつもの時間。そこで会うのはいつものアイツ。
「この前はバナナありがとうございました。傷んじゃいそうだったのでパウンドケーキにしたんですけど食べますか?」
「おー、いるいる。サンキュー」
善逸に押し付けられたバナナを渡してから数日後、朝に会うと可愛らしいラッピングがされたパウンドケーキを渡される。
朝飯はいつも適当に済ませてしまうので、もらった瞬間それを開けてかぶりついた。
「えー?今食べるんですか?コーヒーとか買ってきましょうか?」
「いや、いいわ。会社着いたら後輩がどうせ淹れてくれるしよ。」
「それなら会社で食べた方がよかったんじゃないですか?」
確かにソイツの言う通り、飲み物なしによくそれを食べたが、会社で食べようものなら善逸にまたやんややんや言われるに決まっているのだ。
「会社で食べるとうるせぇ奴がいるんだよ。」
「なら帰りに渡せばよかったですね…、ってあー…今日は絶対会えないから朝でよかったか…」
ポツリと呟く彼女の言葉に含みがあったので、深く突っ込んで聞いてみることにした。
「は?何で"絶対"会えないんだよ?別に会おうと思えば会えるだろ?」
何なら帰りだって会いたいと言えばどんな顔をするだろうか。ここ最近、彼女と出会ってからと言うもの二人の時間が少しずつ増えていっていることが餓鬼みたいに嬉しいと感じていた。
できれば隣にいる彼女にも少しはそう思ってくれていたらいいのに…とため息を吐く。
「えー?宇髄さん、知らないんですか?今日、この駅の近くで花火大会じゃないですか!絶対揉みくちゃですよ!」
そう言われて手首にあるスマートウォッチを確認すれば、駅の其処彼処にデカデカと貼られている花火大会のポスターと合わせ見る。
確かに今日はそこに書いてある日にちと合致していた。