桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第19章 日傘の贈り物【宇髄天元】※完結しました。10/19
「えー?絶対嘘ですよ!ニヤけてますもん!機嫌いいんですよね?!良いですよね?!良いって言って!!」
「何なんだよ、お前。鬱陶しいな!」
「もし良かったらこのバナナどうぞ。」
「………は?」
益々分からない。一体全体何故急にバナナの話になった?つい今までお前は俺の機嫌を伺っていただろうが。
わけがわからなくて訝しげに善逸を見ることしかできない。
「これはプレゼントです!バナナ好きですよね?!」
「好きだって言ったことあるか?!好きでも嫌いでもねぇわ!!」
「え、だって…ゴリラみたいじゃん!デカくて!」
「……お前、喧嘩売りにきたんかよ?」
俺の眉間に皺が寄ったことに慌てて善逸が後退りするが、もう遅いぞ。
ゴリラみてぇだからバナナ好きだろ?っつー理由で寄越してきたならば今すぐにデコピン100発お見舞いしねぇと気が済まねぇ。
「え、ち、違いますって!!これは、その…!お詫びと言うか…!プレゼントというか…!」
「詫び?そうか…なんかやらかしたんかお前。」
「この前頼まれた発注をミスしましてたくさん届いてしまいました‼︎なのでバナナどうぞ!」
「ふっっっっざけんなぁああああああ!!」
「ひぇええええええ!!お、お情けをーー!!」
…と言うわけで何故か一房のバナナを持ち帰る羽目になった俺は大して好きでもないそれを見る度にため息を吐く。
「…マジ、いらねぇ…」
お詫びならば俺の好きなもんでも買ってこいよな。ゴリラに似てるっつー理由でバナナ買って詫び入れにくる馬鹿が何処に…いや、会社にいるんだけど。
まばらな人しかいない電車の中で俺は座りながら盛大にため息を吐くと、上から聴き覚えのある声が聴こえてきた。