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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第19章 日傘の贈り物【宇髄天元】※完結しました。10/19





(…え、ヤバ…。日陰に入ってたのバレた…?)


恐らく会ったことはない。
はじめましての初見の人。こんなイケメンなら忘れようがないから間違いない。

自分の記憶をたどりながらも声をかけてくれたその人に「何か…?」と恐る恐る言葉を返してみる。



「顔真っ赤だぜ。駅まで行くんなら俺の後ろなら日陰になるからよ。後ろ歩けよ。」

「…え、ええ?!い、いや!そんな、悪いです!」

「直射日光避けた方がいいって。あんた本当に顔真っ赤だから熱中症になるぞ。汗も出てねぇじゃん。」



確かにそうだ。熱中症になると汗が出にくくなると聞いたことがある。熱が体にこもるからだ。
しかし、初見のイケメンにそこまでしてもらうのは申し訳がない。たとえ、先程無断で日陰に入らせてもらったとはいえ、今度は自ら入れさせてもらうなど烏滸がましいにもほどがある。


「いや、…で、でも…」


「さっき後ろにいたらちょっとはマシだったろ?」


「え…?」 



その口ぶりからすれば、その人は私の様子を見て前にきてくれたというのだろうか。
顔だけでなく心までイケメンのその人に私は思わず拝み倒したくなった。


「…ありがとうございます。じゃあ、駅まで…いいですか?」

「おぅよ。今日、日傘忘れたのか?」

「え?」

「いつもは日傘してんじゃん。通勤路だからよく見かけてたぜ?あんたのこと。」 



折角青になったと言うのにピカピカと点滅しかけてしまったそれを見て慌てて二人でそれを渡り切ると飛びっきりの笑顔が目に飛び込んできた。


「さ、行こうぜ。電車に乗り遅れちまう。」



その人は宇髄天元さんと言うらしい。
駅に着くと彼は冷たいペットボトルの水を買ってくれて、それを頬につければ顔に溜まった熱は下がっていくが、私の心はどんどんと熱っていく。

ドキドキと煩い心臓は何かが始まる合図。



(…宇髄、天元さん…)




灼熱地獄の直射日光がくれた贈り物は素敵なイケメンとの出会いだった。




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