桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第18章 武器は君そのもの【トラファルガー・ロー】
どうせお仲間だと思われた神父さんがこちらを見下ろしている。
「さ、僕たちの永遠の愛を誓おう。君は僕の運命の相手なんだ。」
いつの間にそんなことになったのだろうか。もう反論する気さえ起こらない。
深いため息を吐くと下を向いて時が過ぎるのを待とうと心を無にした。
だから周りのことなんてこれっぽっちも見ていなかった。
「…残念だったな?そいつはお前の運命の相手なんかじゃねぇよ。オレたちを敵に回したことを後悔しても遅ェ。」
「え…?」
「な、何なんだ!君は!ま、まさか…?」
その声は聞き覚えのある。何ならついさっきまで聴いていた心地のいい低音で。
私は恐る恐る上を向くと、神父だと思われたその人はローブを着ていて顔は見えないけど、明らかに神父にしてはデカいし、手の甲の恐ろしいタトゥーは神に背いているもの。
それが誰かなんてもう考えなくても分かる。
「っ、ロー、さん…!」
「、お前は後からお仕置きだ。」
「くそ、君…!来るんだ!お前たち!コイツを引っ捕らえろ!海軍に引き渡すんだ!」
慌てたように私を抱き上げると周りにいたお仲間にそう指示を出すその人。
バサッ──
音を立てローブを脱ぎ捨てると現れたのは見慣れたローさんだけど、その顔に少しの焦りもなくて、むしろ余裕そうなその表情。
どうやら捕まってしまう…どうしよう…!と思っていたのは私だけのようで一向にローさんを捕まえようとしないお仲間に私もその人もキョトンとして周りを見渡した。
「クソ弱いお仲間なら全員オレの仲間が戦闘不能にしておいたが?」
そう言って周りを改めて見るとそれぞれ変装していたようで服を脱ぎ捨てるとお馴染みのツナギ。
「…う、嘘…!」
「オレのモンに手ェ出した罪は重い。…ROOM…シャンブルズ。」
手を翳したローさんを視界に収めたかと思うと、一緒になって驚いていたその人の腕の中にいた筈なのに、いつの間にか見慣れた胸元のタトゥーが目に入って、彼の匂いがした。
そうすると漸く肩の力が抜けて、鼻の奥がツンとしてしまう。それを隠そうと慌てて彼の胸元に顔を埋めると小さく「ごめんなさい」と言った。