桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第18章 武器は君そのもの【トラファルガー・ロー】
後ろから「僕の運命の人を返せ」と叫んでいるが、もう彼に勝ち目はない。ハートの海賊団は強い。
私なんかに守られなくても強いんだ。
馬鹿なことをしてしまった。今更後悔しても仕方ないけど、夢中で彼の胸に縋りついた。
「お前ら、あとは頼んだぞ。オレは一足先にコイツを船に連れ帰る。」
「アイアイーー!!」
元気なベポの声が聴こえてきた。
何も分からずに入ったハートの海賊団だけど、いつのまにか私の居場所はポーラタング号になっていた。
何もできなくても此処にいたい。
溢れてきた涙がローさんの胸を濡らしているが、もう泣いてることなんて気づいているだろうし、気にしないでおこう。
「…勝手にいなくなった罪は一生此処にいて返せ。」
「…あ、アイアイ…」
「世話のかける女だな、お前は。でも…そのドレスは悪くない。」
「え…?ありがとうございます…。」
いつもは褒めてなんてくれないローさんが少しだけ耳を赤くしてドレスを褒めてくれたことが嬉しくて顔を綻ばせた。
「…次、着る時は好きな人の隣で着たいです。」
「そうか、なら着せてやる。」
「……え?!」
「お前がオレの事好きなのはとっくに気づいてるが?」
「ええええええ!?」
彼の言葉に私は顔を引き攣らせた。告白をする前にバレていたなんてあまりに小っ恥ずかしいが、この流れはどう考えても……
「で、でも…ろ、ローさんも私のこと、好きってことですか?」
「…好きじゃなきゃ、島中探し回らねぇよ。帰ったらお仕置きだ。」
「痛いのは、いやですよ…?!」
「処女には痛いかもしれねぇな。」
「何ですと?!」
両想いだということが成り行きで分かってしまったのはラッキーだったけど、お仕置きの内容を聞いて興味半分怖さ半分で船に帰るまでの間、悶々と考えてしまったのだった。