桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第17章 サヨナラ幼馴染【宇髄天元】
幸いなことに私が行かなければ、天元が私の家に来ることなんて殆どない。よって会う心配もない。そう思っていたのに…
「ちょっとー!?起きてる?天元君が来たわよー?」
ガチャリと無遠慮に入ってきたのは私の母。
ノックくらいして欲しいものだ。
しかも、"天元君が来たわよ"というとんでもない爆弾付きだ。
何よ何よ。いつも来ないくせに何でこんな時だけ来るかな?
「いないって言って。」
「何でー?」
「会いたくないから。」
会いたくないって言わせるのは少し酷か…と思い、別の言い訳を考え始めた時、母がとんでもないことを言った。
「……って言ってるけど、どうする?天元君…。」
「あ、おばさん。ありがとうございます。大丈夫でーす。」
「んえっ?!」
母だけかと思いきや、その後ろにいた無駄にデカい男がいたのを見落としていた。
既に上げてるならそう言って欲しい。玄関で対応してるのかと思ったから本音をバッチリ聞かれてしまった。
「ごゆっくり〜」とテンション高めの母が出て行くと二人取り残された私たち。
あまりに気まずくて布団を手繰り寄せるとベッドの上でそれを被った。
「…何か用事?」
「何で会いたくねぇの。まだ怒ってんの?この前のこと。別にお前に来て欲しくないわけじゃねぇよ。そんな怒んなって。俺が悪かった。」
分かってない。
全然分かってないよ。
そんなことで怒ったんじゃない。というより怒ってない。ただ気まずかっただけ。
「…別に怒ってない」
「怒ってんじゃん。機嫌直せって〜。ケーキ食べに連れて行ってやっからよ。」
「怒ってないって」
「はぁ?何言ってんだよ。」