桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第17章 サヨナラ幼馴染【宇髄天元】
何度言っても分かってくれない天元にだんだん腹が立ってきて、私は布団を捲って起き上がると彼を睨みつけた。
「怒ってるんじゃないって言ってるじゃん!幼馴染なんて御免って言われたから悲しかったんだもん!私は…私だけずっとあんたのこと好きだったから!失恋したんだからそっとしといてよ!馬鹿天元!出てけ!!」
手元にあった枕を投げつけるけど、軽々それを受け止められてしまったので、立ち上がり、天元の体をドアに向かって押した。
「私の気持ちが無くなるまで会わない!それまで二度と来ないで!」
「…嫌だって言ったら?」
「っ、女心分かってなさ過ぎ!全女子を敵に回したからね!」
「分かってるわ。女心」
一向に引く気がない天元に腹が立って仕方ない。扉の近くまでやっとのこと押せたと思ったら急に体が引き寄せられた。
ふわりと天元の香水が鼻を抜ける。
その温かいぬくもりに抱きしめられていると気付くまで数秒かかってしまった。
「…離してよ。悪いけど同情は御免だから。」
「お前だけが好きって何なの?俺だってずっと好きだったんだけど。」
「へぇー、そうですか。……って、へ?」
「…"幼馴染"のお前は御免だって言ったんだろ。勘違いすんなっつーの。」
勘違いも何もあの状況でそんなこと言われたら誤解するのも仕方ないと思うのだけど。
しかし、見上げる先にいる天元の顔が赤く染まっていたので私もすぐに下を向いた。
「…天元が言い間違えたんでしょ。そういう時は"お前が好きだ"ってストレートに言ってよ。」
「じゃ、今言うわ。"お前が好きだ"。俺と付き合って?」
「……しょうがないから付き合ってあげる。」
「はぁ?!てめぇ、こっちがどんだけ我慢してきたと思ってんだよ?来る度に足やら乳やら出してきやがって!」
「だって天元に意識して欲しかったんだもん。」
"してやったり"とニヤリと笑って再び見上げてみれば、悔しそうな天元の顔が目に入る。
しかし、その後、降ってきた熱い唇に溶けるのではないかと思うほど熱いキスをぶちかまされてしまった。
蕩けるようなキスから解放された時の彼のドヤ顔を私は一生忘れないと思う。