第1章 憎い敵・・・でも、好き【赤頭巾】
「・・・狼さん、確かに俺は母の仇である狼は嫌いで憎いですよ。・・・でも、今日貴方は俺を助けてくれた。貴方が狼って知った時、こう思ったんです。・・・こんな優しい狼もいたんだな。って・・・。」
微笑みながら狼さんに向け喋り出す。
「お前・・・、」
「狼さん、お前って呼び方やめてください。
俺の名前はエレンって言うんです。エレン・イェーガー。」
「・・・エレンか。お前こそ、その狼さんっていう呼び方をやめろ。俺の名前はリヴァイだ。」
「リヴァイ・・・いい名前ですね、リヴァイさん♪」
思わず笑みが溢れる。
「・・・・・・。・・・そうだ、お前これを付けろ。」
「えっ。」
そう言ってリヴァイさんは首にかけていたネックレスを外し俺に投げて渡した。上手くキャッチできて両手で取ったネックレスを見ると古びた鍵がついたネックレスだった。
「これは・・・?」
手の中にすっぽり入っている鍵がついたネックレスを見ながらリヴァイさんに聞く
「それをさっきつけていてお前を抱きしめたら急に大人しくなった。俺がお前の力を抑える力があるとは考えられねぇ。ということは、それが何故かはわからねぇがお前の力を抑える物になるんじゃねぇか?・・・取り敢えずつけといて損はねぇからつけとけ。」
これが俺の力を抑えるのか・・・?
鍵を見つめながらそんなことを思う。
でも、これが俺の力を抑えるというのならつけといて損はない。
そう思い、ネックレスをつける。
「ありがとうございます・・・。でも、これを貰ってもいいんですか?」
「あぁ。」
「・・・リヴァイさん、もう帰っちゃうんですね。」
俺の目に映るのはさっき俺を見つけてくれた時みたいに窓に足をかけるリヴァイさん。彼はうつむき俺の方を見てくれない。
「・・・また、会えますか・・・?」
「・・・・・・あぁ。」
その言葉と共に消え去る彼
彼が去ってそのまま開けてある窓から風が入ることにより窓のカーテンが舞う。そんな彼が去っていった窓をひとり寂しく見ていた。窓から見える月がとても綺麗でいつもは恨めしく思う月を今日は愛しくさえ思えた――――。