第1章 憎い敵・・・でも、好き【赤頭巾】
「前来た時も思ったけど、なんかここ他の森よりも暗いっていうか・・・なんか不気味だよな。」
俺とジャンの二人で森に辿り着く。
そういえば、この森の奥に俺が満月の時に潜伏してる小屋があるんだよなぁ・・・。などとのんきに考える。
「この森がそんな怖いのか?
なんなら、一人で帰ってもいいんだぜ?」
「怖いっていってねぇだろ!
そんなこと言ってるエレンこそ怖いんじゃねぇのか?」
「はぁ?てめぇ、いい加減に・・・!」
まさに売り言葉に買い言葉・・・いつものことだ。
しかし、今日はそうはいかなかった。
俺が反論しようとした時微かに聞こえた音。
小さい音だったが俺は分かった。
あれは誰かが木の枝を踏んだ音だ。
こんな暗い森に・・・狼がいるかもしれないのに近寄る町民はいない・・・、いるとすればそれは・・・
「おい、ジャン。お前、ここで待ってろ。」
そう言って音のなる方に走る俺。
「おい!どこ行くんだ!?一人で行動するなって何度も・・・」
どうせ注意されてる声だろう。
しかし、走っているせいで後半は何を言ってるか聞こえなかった。
しかし、これでまたあの彼に会えるのなら・・・。
sideジャン
自分以外誰も居なくなった森の一角で一人ため息をつく。いつもあいつはすぐにどっかに行きやがる。
アルミンとミカサが心配する事も良く分かる。
「ったく、毎回ミカサに迷惑かけてんじゃねぇよ・・・。」
それにしても、どうしたものか。
相棒は消えるし・・・。
「とりあえず、本部に連絡するか。
もしあいつが死んだりしたらミカサに顔向け出来ねぇからな。」
そう言いながらも実は死んで欲しくない。危ない目にあってないだろうか?と心の中で思っているこの気持ちに、まだジャン本人は気付いてない・・・。
そして、この森から早く抜け出そうとしてきた道を辿る。その時、ふとジャンは思う。
「あいつ、なんで急に消えたんだ?
急に表情変えやがって・・・」
あの時、ジャンの耳にはあの小さな音は届いてなかったのだ。本来、あの小さな音は常人は気付かない・・・。
前までのエレンなら、あの音は気付かなかっただろう。しかし、彼─・・・リヴァイに会ったことにより・・・いや、あの鍵のネックレスをつけ始めたことによってエレンは身体的に変化を遂げていたのであった─・・・。