第1章 憎い敵・・・でも、好き【赤頭巾】
sideエレン
「・・・ん・・・。」
視界がぼやける中、目が覚めたようでゆっくりと意識を取り戻す。・・・また、意識を失ってしまったみたいだ。今回は何回、意識を失うのだろう・・・。・・・そういえば、あの人はもう帰ったかな・・・?
そんなことを考えていたら、視界がはっきりとしていく。・・・そして、すぐに気付いたのは何故か体があったかいことだ。何故か体がポカポカとする・・・。
その理由はすぐに分かった。
視界がはっきりした時に見えたのはいつも以上に家具等が荒らされた見慣れた部屋と何故か俺を抱きしめている帰ったであろう森で出会ったあの人だった。
「・・・えっ・・・!?」
理解できず、一瞬固まり即座にあの人の腕から体を引き剥がす。
「な、なんで貴方が!?逃げてって言ったはずじゃ・・・!」
「ようやく意識が戻ったか。」
「いや、戻りましたけど!?
なんでここにいるんですか!?・・・し、しかも・・・なんか俺知らない内に抱きしめられてたし・・・!?」
「あぁ、あれは悪かった。お前が暴走しかけていたから、止めようとしたがらちがあかねぇ。そして、何の気もなしに抱きしめたら急に大人しくなったからそのまま抱きしめていただけだ。」
「・・・そんな・・・、また暴走したのなら俺をおいて逃げてくれれば良かったじゃないですか・・・。」
本当は感謝してる・・・でも、ついそんな言葉が出てしまった。そう、これは自分がまた暴走してしまったことに対しての怒り、そして悲しみを彼にぶつけてるだけ。
「女が困ってるのに、そのまま置いて逃げるわけねぇだろ。」
「・・・え・・・。」
思わず、今まで彼に背を向けきいていたのだが彼の方を見てしまう。
「あ、あんた・・・その傷・・・!!」
俺の目にうつったのは今まで気付かなったのが不思議なくらいにシャツが切れて真っ赤に染まった彼の背中だった。