第1章 憎い敵・・・でも、好き【赤頭巾】
「・・・ふぅ、・・・よし!これで大丈夫だ!」
今日は満月の日だ。
いつもは食料をとりに行くためなどに鍵をあけていたが頑丈に鍵を閉じる。
俺はいつも満月の日からここにいるのではなく、満月の日の前後はずっとここにいる。
何故なら、もし満月の日のことを引きずってあのままの状態で出ることはみんなに迷惑をかけるからだ。
それに、満月の前から徐々に俺の体は異常をきたし始める。
「あぁ・・・、もうこんなに伸びちゃった。
これじゃ、もう狼そのものだな。」
鏡を見てそう言う。
今の俺は、爪は長く伸び牙が生えてしまっている。
満月の前から徐々にこうなっていってしまうのだ。
それに、今日は満月・・・。
もうひとつの俺が出てくる日・・・。
そんなことを考えながら、鏡をはずす。
その他にも、包丁など危険になりそうなものをどんどん集め、台がないと届かないところに全て隠す。
いつもそうだ・・・、もうひとりの自分が何をするかわからないから危険そうなものは隠す。
そんな作業などを繰り返していると、急にめまいがしてその場で座り込む。
時間がかなり経っていたようだ。
部屋の窓を見ると、日が落ちているのが見える。
「まだ、夕方なのに・・・、なんで・・・!」
・・・そこで意識がなくなった。