第1章 憎い敵・・・でも、好き【赤頭巾】
「なかなか帰ってこないから心配して来たんだけど・・・。おばさんは・・・・・・っ!?」
母さんの様子に気付いた様で、驚き今にも倒れそうなアルミン。ミカサも気付いたようで下を向き俺があげたマフラーで顔を隠す。
「・・・俺が来たら、もう母さんはこの状態で・・・。
さっきまで意識はあったけど・・・・・・。」
沈黙が続く中、風が吹き森の中の木々が揺れ音が響き渡る中、鳥達が鳴き一斉に飛び立つ。元からここに住んでいる動物達が森の奥から葉をゆらす音がきこえる。
そして、俺はその沈黙を破り二人に声をかける
「ミカサ、アルミン・・・。
母さんを一緒に運んでくれないか?
ここで一人にするのは可哀想だから・・・。」
「う、うん・・・。分かったよ。」
慌てながらも承諾してくれるアルミン。
ミカサは言葉を発せずとも了承してくれたと判断できた。
「・・・じゃあ、運ぶぞ。」
そう言い、3人で協力して母さんを運ぶ。
最初はなかなか運べなかったが、徐々にコツをつかみ運べるようになった。
森を抜けてからは大人の人に助けてもらい無事に母さんを埋葬することができた。
そして、父さんも帰ってきて落ち着き始めたある日俺は母さんのお墓参りに行った。
その時母さんが死んだ時のことを思い出しこう思った
俺が落ち込んではいけないのだ。俺が落ち込んでいたら、みんなに迷惑をかける。だから、俺はいつも笑うようにしよう。辛い時があったって、悲しい時があったって、みんなが俺を心配しないように・・・。
そして、いつか母さんを殺った狼を見つけ出す。母さんは相手を恨まないでって言っていたけど、俺は許せない。俺たちの自由を奪い、さらには母さんまでこの世から奪った。そんな奴らを駆逐してやる・・・!
その為には・・・
「母さん、俺赤頭巾になるよ・・・。」
それをきっかけに、俺は“本心を隠す”ようになり、そして、赤頭巾になることを誓ったのだ。
そんなこともあり赤頭巾になったのだが、狼の血を4分の1受け継いでいる俺には満月の日にはあることが起こる。ライナー達は何故かならないらしく、ライナー達いわく俺が受け継いだ狼の血はライナー達より濃いのではないだろうか?と言う話になった。
そんな事を思い出しながら、俺は家にこもる準備を続けていた。
そして、そんな事をしているとあっという間に満月の日がやってきてしまった。