第1章 憎い敵・・・でも、好き【赤頭巾】
「母さん・・・?」
振り返り、また母さんのそばに寄ってまた先程と同じように母さんの手を握る。
「エレン・・・、これから何があっても母さんの事で相手を恨まないでね・・・。」
「なに、変なこと言ってんだよ!
母さんはこれからも俺と一緒に生きるんだろ!」
自然と涙がこぼれる
「・・・あとエレン・・・、貴方だけは大切な人に囲まれて幸せな日々を送ってね・・・。貴方は私の大切な子・・・、大好きよ・・・エレン。」
「そんな、今から死ぬような言い方しないで・・・、俺も好きだから・・・、大好きだから生きてよ!母さん!!」
すると、今まで握っていた母さんの手が俺の手からおちる・・・。いそいで、もう一回握り返すと手が人形のような自分の意思を持ってないように俺に動かされる・・・まるで、死んだ人のように・・・。
「・・・母さん・・・?」
反応がない。
いそいで胸元に耳を当てると心臓の音が聞こえない。
「ねぇ、嘘だよね・・・?」
反応はない。
「ねぇ、母さん・・・いつものように、エレンってよんでよ・・・!」
いつも、俺のことを心配してくれた母さん。
最期まで、心配させたままだった・・・!
「うぁぁぁぁぁあああ!!!」
俺は泣き崩れる。
なんで、母さんはやられなきゃいけなかったんだ・・・!
いつも、外で遊んできて家に帰ると台所に母さんがいて
「エレン!また、こんなに服汚して・・・。
もうちょっと大人しくできないのかしら?」
そういい、あきれながらも服の汚れを一緒に落としてくれる。
俺は、こんな何気ない日常が大好きだった。
よく、診療の為何処かに出かける父さん・・・さびしかったけど、いつも母さんが家に居てくれて俺を出迎えてくれた。
「・・・母さん・・・!」
思わず、昔のことを思い出してさらに涙がこぼれる。
もう、母さんはいない。
なんで、俺は母さんにもっと優しくできなかったんだろう・・・!
こんな、こんな最期なんて・・・!!
「エレン・・・?」
「・・・えっ?」
今まで気付かなかったのか、それとも今来たのかは分からないが声のある方に振り向くと、そこには先程まで遊んでいたアルミンとミカサがいた。