第1章 憎い敵・・・でも、好き【赤頭巾】
満月―――。
別名、十五夜とも言われ人の心を穏やかにする景色といってもいいもの・・・。
しかし、俺達にとって厄介者でしかない。
そう、満月の日は狼の活動が活発になる時期なのだ
だから、赤頭巾は満月の時期は容易には狼に関わる活動をしないようにスケジュールを管理している。
つまり、あまり任務がないということだ。
そして、俺はこの時期休みを頂き、人知れず森の奥にある小屋にこもる。
なぜ、こもるかというと・・・
俺が狼の血が混じっている人間だからだ
他にも混じっている人間は赤頭巾の部隊の中にもいる。例えば、ライナー、ベルトルト、アニ、ユミルも狼の血が混じっている人間だ。
血が混じっていると言っても、上の者も狼の血は4分の1で、日常生活では何ら支障はない。
満月の時期以外は・・・。
そしてなぜ、俺が狼の血が混じっているのかと言うと・・・母さんが狼の血が半分混じっていたからだ。
母さんは、家族と本当に親しい人にしか自分が狼の血が混じっていることをあかさなかった。
そして、毎日何事もなく生活をしていた。
あの日までは・・・、
そう、母さんは・・・殺されてしまった。
狼に・・・、
あの日は、母さんが何の用か分からないけど森の中に行っていた時だった。
俺はあの時、母さんが帰ってくるのを待ちながら幼馴染のアルミンとミカサと遊んでいた。
しかし、いくら待っても母さんは帰ってこず、心配になった俺が母さんが行った森に行くと・・・
変わり果てた母さんがいた。
服がボロボロで泥だらけになっていて、傷が大量にあり、そこから血が出ている事が分かる。明らかに、森で襲われたとしか思えない。森で襲われたというとあいつらしかいない・・・!
・・・そんな事を思いながら
「母さん!」
俺は、すぐに駆けつけ母さんのそばに寄った。
すると、母さんは俺に気づいたのかまだ意識はあるようで、手を差し伸べてきた。俺はすかさずその手を握りしめる。母さんの手がいつもより冷たい・・・。
「・・・エレン・・・?」
「そうだ!エレンだよ・・・!・・・母さん大丈夫!?
誰か助け呼ばないと・・・!」
母さんの問いかけに答え、必死に声をかける
父さんはこの時、遠くに診療に行っていていない。
そして、誰かに助けを求めに行こうとし走ろうとしたとき、母さんに呼び止められ・・・