第1章 憎い敵・・・でも、好き【赤頭巾】
side エレン
団長室を後にした後・・・、
「お前なぁ、なんで満月がいつ来るか把握してないんだ!?」
一緒に、本部を歩いているジャンがどこかのお母さんのように俺を説教し始める。
それを、俺は鬱陶しく思いながら
「そんなん、いちいち把握できるわけねぇだろ!
取り敢えず、満月が来るって分かった以上俺は部屋にこもるために色々準備しなきゃいけねぇんだよ!!」
と、怒鳴りつけると
ジャンが急に何を悩んでいるのか腕を組み考え始めた。
すると、思いついたかのように顔をあげて
「仕方ねぇな・・・、俺も手伝ってやるよ。」
と、頬を赤らめ言った。
「・・・、ジャンお前風邪でも引いたか?
顔も赤いし、お前がそんなこと言うなんて・・・、明日は雨がふりそうだな。」
「俺は、お前に相棒として気を使ってやったんだよ!!少しは、感謝しろよ!!」
と、また怒り出す。
耳を手で塞ぎながらジャンの言葉を聞き流す
そんな、相棒、相棒って言って気を使わなくていいのに・・・、照れながら言われても・・・。
でも・・・
「ありがとな、気持ちだけもらっとくよ!」
笑みをこぼしながら言う。
・・・手伝って欲しいのはやまやまだが、これは一人でしないといけない。なぜなら、俺がこもる小屋の場所は誰にも知られたくない。
その為に、わざわざ人里離れたところにしたのに・・・
「・・・おう、分かったよ。
それにしても・・・満月ってのは俺達赤頭巾にしては厄介な物だよな・・・。しばらく、俺達も容易には動けねぇしなぁ・・・。」
と、納得してくれたようなのだが急にしみじみと語り出すジャン。
けど、ジャンの言っていることは間違いはない。
そう、満月と言うのは赤頭巾にしても・・・俺にしても厄介な物なのだ。