第1章 憎い敵・・・でも、好き【赤頭巾】
ハンジさんは話を続ける。
「勿論、報告をしに来てくれる君達も辛いだろうけど、聞いてるこっちも神経使うからねぇ。報告っていうのはお互い疲れるものだねぇ」
と、終始笑いながら言うハンジさん
「確かに・・・。」
すると、今まで黙っていたジャンが俺を肘でつついてきて
「・・・おい、あの男の話はしないのか?」
と、小声で話してきた。
「・・・なんで、わざわざ迷子の人を教えなきゃいけないんだよ?」
思わず、俺も小声で言葉を返す
すると、その様子に気付いたのかハンジさんが
「二人ともコソコソ話してどうしたんだい?」
と、問いかけてくるので俺は正直に答える
「実はですね、任務中にある男の人に会ったんですよ。しかも、森の中で。俺は迷子になった人だって言ってるんですけど、コイツが違うってうるさくて・・・」
すると、今まで書類を見ていた団長も止まり、そして、ハンジさんまで真剣な表情に変わった。
「・・・え、俺なんか変なこと言いました?」
その様子に驚く俺。
ジャンも少なからず焦っているようだ。
「いや、少しその話が興味深くてね・・・。
その男は、どんな人だったかな?」
書類を手元に置き、真剣な表情で団長が急に質問してくる。
「えっと・・・、どっちかと言うと口調が悪くて、森にいるにしては装備のない服でしたね。あと、髪は黒髪で・・・あ、目つきもちょっと悪くてこわかったです!」
俺があの人の思ったままを口にすると、
「あれは、目つきも口調もお前が言う以上に怖かっただろうが・・・!」
と、ジャンが反論してくる。
「いやいや、そんなことないって!」
と、反論しかえしたりしてると・・・
「ま、取り敢えずこの情報を教えてくれてありがとう。しばらくは二人共休んでくれ。」
と、団長がニッコリと笑いながら言ってくる
「俺はまだ働けます!
何か新しい指示を与えてください!!」
と、とっさにそんな団長に反論する。
「・・・でも、エレン。もう少しで満月だけど・・・?
エレン、しばらく人前で動けないでしょう?」
「え、もう満月の日が来るんですか!?
・・・じゃあ、お言葉に甘えて休ませてもらいます・・・。」
「よし、じゃあエレンも準備あるだろうし今日は帰りな?」
その言葉に甘え、俺達は団長室を後にした。