第2章 シナリオ通りじゃない/観月はじめ
私はギャルで、見た目はチャラそうに見られるかもしれないけど、実際自分から告白するのなんて初めてだった。
「それは…。困りましたね…。」
「私じゃ、はじめと付き合えない…かな…?」
恥ずかしさと、これからはじめの口から出る言葉に不安が募り、私の目から涙が溢れ出した。
「僕は、貴女と一緒にいる時間は楽しいと思っていました。それは、今まで関わったことのないような人と話すのが単純に面白くて、データ集めのようなもの…と思っていたのですが…。」
データ集め。その言葉が私の心にグサッと刺さった。
「でも貴女のその気持ちを聞いてしまっては、今までのように自然に話すことは難しくなるかもしれない。すみませんが、僕は今貴女と付き合う…とかは考えられません。」
はじめはそう言うと気まずそうに、中庭から立ち去った。
次の日から、テニスが休みの日でもはじめは中庭へと現れなくなった。
最初はそれをただ悲しむだけの私だったけど、段々とイライラして来て、行動せずにはいられなかった。
待ってるだけじゃダメだ。嫌われたわけじゃないんだし、絶対振り向かせてみせる!
その日から空き時間を見つけては、3年棟に足を運んではじめを探した。
そして、今に至る。
「はじめ!今日こそ一緒に帰ろう!」
「また貴女ですか。僕は部活で忙しいんですよ。」
「今日、柳澤くんが部活はおやすみだって言ってたよ!」
「柳澤…。はぁ…。」
すると、そのやり取りを見ていたはじめと同じクラスの柳澤くんが、はじめに声をかけた。
「観月、たまにはちゃんと一緒に帰ってあげるだーね。」
「なぜ、貴方にそんなことを言われなきゃならないのですか?」
「女の子がこんな風に毎日来て、その度に断られる気持ち考えたことあるだーね!」
はじめは柳澤くんの言葉に口ごもった。
そして、私の方を向き直し眉をひそめた。
「うーん。シナリオ通りにいかないなぁ。
いいでしょう。ではさん。今日は一緒に帰ることにしましょう。」
「ほんと!?いいの!?」
「仕方ありません。柳澤に叱られるなんて僕のプライドが許しませんからね。」
嬉しくてついはじめの腕を掴みそうになる。すると、パッと避けながらはじめは続けた。
「僕は触られるのは苦手なんですよ。前にも言いましたよね。」
「あ、ごめんね!」