第17章 恋ってなんや?/遠山金太郎
「何言ってるの!?」
私は素早くそこから視線を逸らしてそう言った。
「なぁ、姉ちゃん。これなんなんやろなー?」
「金ちゃん…ほんとに分かってないの?それとも分かってて言ってる?いや、違うよなぁ…ほんとに分かってないんだろうなぁ…」
私はため息混じりで自問自答した。
「姉ちゃん手ぇ繋いでもええか?」
「え!?何で!?」
「なんや急に姉ちゃんに触りたなってしもたんやー、あかんのん?」
「んー…そう言うのは好きな人とやるんだよ…?」
私は少し困ったようにそう言った。
「ワイ、姉ちゃんのこと好きやで!」
「んー…それはちょっと違うような…だって恋ではないんでしょ…?」
「よぉ分からんけど、繋ぎたいんや!」
金ちゃんはそう言って強引に私の手を掴んだ。
「へへっ!このまま歩こうや!」
屈託のない笑顔を見せる金ちゃんに私は何も言えず、引っ張られるがままに歩いていった。
「ここ、ワイの家やで!」
暫く歩くと、金ちゃんが突然そう言った。
「姉ちゃん寄っていき!」
「え!でも…」
「ええから来ぃや!」
またしても強引に引っ張られ、私は言われるがまま玄関に足を踏み入れた。
「お、お邪魔します…。」
「そんなん言っても、今誰もいーひんで!」
ズカズカと家の中へ進んでいく金ちゃんの後ろを私はそろそろと着いていった。
「ここがワイの部屋や!」
漫画がたくさん並んだ部屋に通されると、私は床に置かれた座布団にちょこんと座った。
「すごい…少年漫画ばっかり…」
「ん?そーか?姉ちゃんはどんな漫画読むんや?」
「私は恋愛物ばっかりだよ」
「レンアイ?おもろいんか?」
「私は面白いと思うけど、金ちゃんにはまだ早いかもね」
私はイタズラに笑ってそう言った。
「なんやてー!なんでワイには早いんや!」
「だって、金ちゃん子供っぽいもん」
私がそう言うと、金ちゃんはちょっと不機嫌そうに私を睨んだ。
「2個しか変わらんやんか!まぁええわ、ところで姉ちゃんはレンアイ漫画のどういうとこが好きなん?」
「えー…そうだなぁ…。やっぱりキュンってする所かな?」
「キュン?」
金ちゃんは不思議そうに首を傾げた。
「どういう所にキュンってするんや?」