第17章 恋ってなんや?/遠山金太郎
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連絡先を交換してからというもの、毎日何度もメッセージが来た。
『今日は体育あるから楽しみや!』
『今日はたこ焼きパーティーやで!』
『今日の雲ドーナツみたいやったで!』
時には写真付きで、他愛もない内容のメッセージが毎日送られてくる。
その度に私は、当たり障りのない返信をしていた。
『姉ちゃん、ワイと話すの楽しい?』
ある日、そんなメッセージが届いた。
『楽しいよ!』
私は不思議に思いながらもそう返信した。
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何ヶ月か経った頃、白石くんが私に声をかけてきた。
「ちょっとええか?金ちゃんの事なんやけど…」
「金ちゃん?どうかしたの?」
「金ちゃんに相談されたんや。最近姉ちゃんのこと考えたら胸が苦しくなるんやって。」
白石くんはそう言うと、「あとは本人と話し?」とその場を後にした。
胸が苦しくなる?それって…。
私は携帯電話を取り出すと、金ちゃんにメッセージを送った。
『ちょっと2人で話そう?放課後、校門の前で待ってる。』
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その日の放課後、私はメッセージの通りに校門の前で1人佇んで金ちゃんを待っていた。
「姉ちゃん!ごめんな、待ったよな!」
金ちゃんが息を切らしながら私に駆け寄った。
「ううん、大丈夫だよ。ちょっと歩こっか?」
私は金ちゃんと並んで宛もなく歩き出した。
「実はね、白石くんから聞いたんだ。私の事考えてると胸が苦しくなるんだって?」
「そうや!姉ちゃんひょっとして…魔女やな!?ワイに胸が苦しくなる魔法かけてるんや…!」
私は思わずぷっと吹き出すと、あははと声を出して笑った。
「私は魔女じゃないよ、でも魔法はかかってるかもね?」
「なんやそれ?どういう意味や?」
「恋の魔法?」
「恋?恋ってなんや?」
「私の事考えるとさ、胸が苦しくなる以外に何かないの?」
金ちゃんはその問いかけに頭を悩ませると、意外な答えが返ってきた。
「あ!アソコがおっきくなるんやで!」
「は…?…アソコって?」
「せやから、ここや!」
金ちゃんは自分の下半身を指さし再びそう言った。