第17章 恋ってなんや?/遠山金太郎
《夢主side》
金ちゃんは弟みたいな人。…って思ってたはずなのに。
遡ること半年前。
私はクラスメイトの白石くんの誘いでテニス部の大会の応援に行った。
白石くんが場を取り繕ってくれたおかげで、他のテニス部員たちとも交流することができ、大会終わりの打ち上げにまでお邪魔させてもらった。
焼肉屋さんで行われた打ち上げで隣になったのが金ちゃん、2歳年下の遠山金太郎くんだった。
「姉ちゃんも遠慮しないで食べーや!」
そう言いながらも、焼けたお肉を次々と自分の皿に乗せていく金ちゃんに唖然としてなかなか箸が進まなかった。
「こら、金ちゃん。が全然食えてへんで?」
「ワイのせいか?ごめんな、姉ちゃん。これやるわ。」
肩を落としながら、叱られた子犬のようにしょんぼりする金ちゃんは私にお肉を取り分けてくれた。
「あはは…ありがとう!」
「ん?そういや姉ちゃん、大阪の人とちゃうんか?」
「あ、そうなの。私去年転校してきたばっかりだから…。」
「そうやったんか〜!」
元気な金ちゃんのおかげで、その日は楽しい時間を過ごせたのを覚えている。
☆☆☆
あの日の打ち上げ以来、私はテニス部の皆と時々交流するようになった。
元々同じクラスで仲が良かったこともあり、白石くんの誘いで遊ぶことが多かった。
「姉ちゃん!今日もいるや〜ん!姉ちゃん来てくれたらワイ楽しいで!」
金ちゃんは、私に本当の姉のように懐いてくれて私もそんな金ちゃんを可愛がった。
「金ちゃん、が来ないと、今日は姉ちゃんおらんの?ってあからさまに落ち込むんやで?」
白石くんは可笑しそうにそう言った。
「あー!それは言わんといてやー!恥ずかしいわー!」
金ちゃんは白石くんを指さしそう叫んだ。
私もその様子が可笑しくてふふっと笑った。
「姉ちゃん、やっぱ笑った顔可愛いな!」
「え?ありがと…」
私は突然の言葉に思わず顔を赤らめた。
可愛いなんて言われ慣れてない私は不意打ちを食らってしまった。
「なぁなぁ姉ちゃん!ワイにも連絡先教えてーな!」
「うん、いいよ!」
私はこの日初めて金ちゃんと連絡先を交換した。