第16章 男は度胸/向日岳人
「えっと…何が…?」
私は意味がわからないという様に岳人を見つめた。
「侑士とイチャついて楽しかったかって聞いてんの!」
岳人は声を張り上げながらそう言った。
「べ、別にイチャイチャしてないでしょ…!」
「お前は言い寄られれば誰でもいいわけ?」
「どうして…そうなるの…」
「お前は、誰彼構わず触らせんのかよ?」
そう言って岳人は私の腰に手を回すとそのまま下に下ろしていき、私のおしりを撫でた。
「…やっ…!何して…」
「昨日侑士にも触らせてたろ?じゃあ俺もいいじゃん」
「侑士くんはそんな所触ってない!」
私はそう言うと岳人をキッと睨み、続けて口を開いた。
「なんで怒ってるの!?そんなに昨日のことが気に入らなかったんだったら岳人が送ってくれればよかったじゃん!」
「お、俺は…!」
「私は岳人が好きだよ!」
何か言いかけた岳人を遮るように私は勢いに任せてそう言った。
岳人は突然の告白に目を丸くして驚いているようだった。
「あ…俺…ごめん…。」
「何に対してのごめんなの?」
「その…嫉妬して、お前に八つ当たりして…」
「私は、岳人が好きだから…だから力づくでこんなことされるの嫌だった…怖かったよ…」
「っ!本当に悪かった!ごめん…俺も…お前のこと、好きだ!」
岳人はそう言うと、深々と頭を下げた。
「岳人…顔上げて?じゃないと…出来ないよ…」
「出来ないって、なに…!?」
顔を上げた岳人に、私は抱きつきながらキスをした。
岳人は顔を真っ赤にしながら、どうしていいか分からないといった感じで固まっていた。
「岳人…付き合ったって…思っていいの?」
「え、、、それは…そうなんじゃ…ないのか…?」
私たちはお互い頬を染めながら見つめ合い、どちらからともなく再び唇を重ねた。
何度か唇を重ね合ったあと、岳人は私の肩を掴んでグイッと離すとこう言った。
「もう終わり!なんか、変な気になって来たから!」
「…!?へ、変態岳人!」
「先にしてきたのはそっちだろ!?」
私たちは暫く言い合うと顔を見合わせて笑った。