第13章 バレンタイン大作戦/丸井ブン太
「はい、蓮司くん。いつもお疲れさま。」
「あぁ、すまない。」
「仁王くん。どうぞ。」
「プリッ」
うーん。この2人は何考えているか全然読めない。
「柳生くん、はいどうぞ。」
「いつもありがとうございます。」
礼儀正しい柳生くんは紳士的に受け取る。
「はい、ジャッカルくん。と赤也。ホワイトデーは3倍返しだよ?」
「「なんで俺らだけ!」」
そんな、2人を見てあははと笑った私は最後にブン太の方を向いた。
「はい、ブン太。いつもありがとう。」
「あ、あぁ。俺もこれなの?」
と、ブン太は少し不服そうにしていた。
毎年恒例チョコレートばら撒き行事が終わると、みんなそれぞれ練習を開始した。
☆☆☆
練習が終わって部室からブン太が出てくるのを、私は外で待っていた。
ガチャっとドアが開き、ブン太が出てきたのを確認すると私は走って駆け寄った。
「一緒に帰ろ?」
私がそういうと、ブン太は二つ返事で「おう」と言った。
「ブン太、あのね、今日うち誰もいないんだ。寄って行かない?」
「お、まじで?行く行く!」
他愛もない話しをしながら、私とブン太は私の家へと向かって歩いた。
私の家につき、玄関を開けるとブン太は「おじゃましまーす」と
言って靴を脱いだ。
「とりあえず私の部屋に行ってて?飲み物持っていくから」
私は適当に飲み物をコップに注ぐと、既にブン太の待つ自分の部屋へと足早に運んだ。
部屋に入ると、ブン太はなにやらカバンをガサゴソと漁っている様子だった。
「何してるの?」
「お前から貰った義理チョコカバンに入れたはずなんだけどよぉ。見当たらないんだよな。」
ブン太はそう言って、スクールバッグをガバッと開いた。
その時、私があげたものとは別のラッピングされた箱がチラッと見えた。
「ブン太、チョコもらったの?」
「だから、お前がくれたチョコを今探してんだって」
「私以外からも、チョコもらったんじゃないの?」
ブン太はカバンから、私の方へと視線を動かした。
「ん?おぉ、これか?クラスの女子がくれたんだよ、これとこれも」
そう言うと、カバンの中から3つラッピングされた箱を取り出し、テーブルの上に並べた。
その内の一つには手紙まで挟まっているようだった。