• テキストサイズ

裏・テニスの王子様♡

第11章 愛だとか恋だとか/亜久津仁




仁は目を見開いて、珍しく照れて赤面していた。

「かわいい…。」

私は思わず、頭に浮かんだ言葉をそのまま口に出す。

「うるせぇ。」

「仁は何だかんだ優しいから、きっといいパパになるよ。」

「うるせぇ。」

「私のことこんなに幸せにしてくれるんだもん。きっと子供のことも幸せに出来ると思うよ。」

「…るせぇ。」

真正面に褒められ慣れてない仁は、恥ずかしさのためか声を小さくして俯いた。

私はギラギラした仁の銀髪を撫でた。

「…お前のガキの親父が俺前提って…当たりめぇだろ…。お前、誰とのガキ産むつもりなんだよ。」

そう言うと、仁の銀髪に触れている私の手を掴んだ。

「俺は最初から、お前の未来の中に俺がいるのを想像して聞いてたぞ」

その言葉が嬉しくて、胸がキュンとなって、私の瞳から涙が零れた。

「泣いてんじゃねぇよ。お前は笑った顔の方がいい。」


「うん…待って…今笑うから…」

そう言って私は頬を伝う涙を手で拭うが、涙は止まることをしなかった。

「泣くな。」

口調とは裏腹に、仁は優しく親指で私の瞼を撫でた。

「仁…好き…大好き…」

頬に触れる仁の大きな手に、私はそっと口付けをした。


「俺もだ。」

「俺も何…?」

「あ?言わなくても分かるだろーが。」

「わかんない、なに?」

「お前…俺は言わねぇぞ。」

私は、もう、と怒ったふりをして、仁に背中を向けるようにソファにふて寝した。

「バカか、てめぇは…。んなもんは、言葉じゃねーんだよ…」

私の背中にそう呟いた仁は、側に寄ってくると私の左手を握った。
直後に冷たい感覚が薬指に走った。

「え…?」

私は勢いよく体を起こして、その手を確認した。
私の誕生石があしらわれたシンプルな指輪が輝いていた。

「お前の指図なら受けてやっても構わねぇ。お前の理想の家族とやらを一緒に作ろうぜ。」

思わぬ展開に、私の目には涙が溢れた。

「またか…。」

仁は呆れたように眉間に皺を寄せる。

「ごめ…すぐ…笑うから…」

「気にすんな。仕方ねぇから胸貸してやる。」

そう言って仁は私を力強く抱き寄せた。

「仁、私、すごく幸せ!」

私は思いっきり笑って見せた。

仁はそんな私を、今まで見たこともないくらい優しい笑顔で見つめキスをした。


Fin.






/ 99ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp