第10章 彼氏の特権/越前リョーマ
しばらくして、お盆にグラスを3つ乗せたがまた俺たちの方へと向かって歩いてきた。
「お待たせしましたぁ。」
ゆっくりと俺の前に置かれるオレンジジュース。
俺はそれをグイッと奪い取るように自分の方へと寄せた。
それを見て目を丸くするに、俺は声を低くして問いかけた。
「何時に休憩なの」
「あ、11:30になったら休んでいいよって言われてるよ!」
時計を見ると、まだ10時20分。
まだ1時間以上あるのか、と俺は肩を落とした。
「俺らこれ飲んだら一旦出るけど、休憩時間近くなったら迎えに来るから。」
「うん!ありがとう!」
人の気持ちも知らないで、ニコニコと笑いながらはそう答えた。
「先輩たち…。ちょっと見すぎっス。」
「「!?」」
2人は同時に顔を赤くしながら各々抗議していたけど、俺はそれを聞かずにオレンジジュースを飲み干した。
「おい、越前。ほんとにもう店出んのかぁ?」
「…。桃先輩、そんなに俺の彼女のこと見てたいんスか?」
「そうじゃなくてよぉ、他の客たちの目。お前も見ただろ?心配じゃねーのか?」
心配。それももちろんあるけど、あいつらのやらしい目を見てると喧嘩売っちゃいそうで。あの空間にはとにかく居たくなかった。
「まぁ、あと俺時間まで寝るんで。」
そう言うと、俺は先輩たちと別れて適当に人のいなさそうな場所を探した。
使われてない空き教室を見つけ、窓側の椅子に腰掛けるとそのまま机に突っ伏した。
「あ…そうだ。」
俺は携帯電話を取り出すと、11時15分にアラームをセットした。
☆☆☆
…ブーブーブー。
…ブーブーブー。
アラームのバイブの音で目を覚ます。
「ん…」
俺は欠伸をしながら、ぐーっと腕を伸ばした。
そしておもむろに立ち上がると、再びのクラスへと足を運んだ。
☆☆☆
のクラスの前に着いて、教室の中をチラッと覗くとまた男共にチヤホヤされながら、猫みたいなポーズを取っている彼女が目に入った。
「ねぇ!行くよ!」
俺は居てもたってもいられずに、声を張り上げた。
その声に気づいたは慌てて俺の方に向かって走ってくる。
「もう休憩入れるの?」
「うん!ありがとう!」
会話を済ませると、俺はの手を引き歩きだした。