第10章 彼氏の特権/越前リョーマ
廊下を歩く俺たちを見る他生徒の視線が痛いくらいに刺さった。
まぁ、見られてるのはきっと俺に手を引かれて後ろを歩くメイドの方なんだろうけど。
俺はその視線に耐えきれず、着ていたブレザーを脱ぐとの肩にそれをかけた。
「それ、着て」
一瞬の顔を見て俺はそう言うと、また前へ向き直って歩みを進めた。
「リョーマ、私、喉乾いちゃって」
後ろからの声が聞こえた。
とにかく人の目から逃れたかった俺は自動販売機へと向かった。
「はい、どうぞ」
自動販売機で買ったミルクティーとファンタグレープを持って、学園祭の間は人が来ないであろう屋上に続く階段に座った。
「ありがと〜」
ニコニコしながら甘い声を出すに俺は冷たく問いかける。
「どういうつもり?」
「え…何が…?」
ミルクティーを開けかけた手を止め、は俺に聞き返した。
「その格好、あの接客」
「あ…。これはね!クラスの男子たちが提案して!だから、女子は、みんな…」
は途切れ途切れに言い訳を並べた。
「ムカつく。他の男の言いなりになってそんな格好しちゃうあんたも、あんたのこんな格好見てニヤニヤしてるあいつらも。」
「ごめんなさい…。」
「英二先輩のこと、名前で呼んでるんだ?あんな風に普段からベタベタ触られてんの?」
俺はそう言いながら段々顔を近づけていく。
「だって…同じクラスだし…。英二は皆にあんな感じ…だし…。」
近づく俺の顔から目を背けながらぽつぽつと呟く。
「ふーん…。ちょっと、男のこと舐めすぎなんじゃない。」
そう言って俺は階段の踊り場にを押し倒した。
「ここも…ここも…男は見ただけで想像するんだよ…」
俺はいつもより目立つ鎖骨を噛んで、いつもより露出している太ももを撫でた。
「ここの下の大きさとか…スカートの中とか…」
「リョー…マも…?」
「当たり前じゃん。だからこんなにイラついてんの。」
そう言って鎖骨のちょっと下の肌に噛み付いた。
「いっ…痛いよ!リョーマ…」