第10章 彼氏の特権/越前リョーマ
《リョーマside》
今日は高校生になって初めての学園祭の日。
別にそういうイベントに大して熱くなれない俺は木陰で1人居眠りしていた。
…。まぁ、後でのクラスには行くつもりだけど。
とは中学3年の頃、今通ってる高校とのテニス部の交流で知り合って意気投合。そしてそのまま俺の彼女となった2個上の先輩。
確か、のクラスは喫茶店とか言ってたよね。
まだそんなにお腹も空いてないし、お昼近くになったら行こうかな。
そんな事を考えながらウトウトとしていると、聞き覚えのある声が上から降ってきた。
「よぉ、越前!何寝てんだぁ?」
「…桃先輩。と、海堂先輩も一緒なんスか。」
遠のく意識を引き戻すかのように俺を呼んだのは、中学の頃からの先輩で1番良くしてくれる桃先輩と海堂先輩だった。
「さんのクラスには行かなくていいのか。」
海堂先輩がそう言うと、そうだそうだ、と隣で桃先輩も便乗する。
「いや…。昼に行こうと思ってたんスけど…。」
「わざわざ混んでる時間に行くことねぇだろ?善は急げだ!行こうぜ!」
桃先輩はそう言って俺を強引に引っ張りあげた。
☆☆☆
時計を見ると丁度10時を回ったところだった。
俺と桃先輩、海堂先輩はのクラスへと向かって歩いた。
「おい、越前。先輩のクラスは何やるんだぁ?」
「なんで桃先輩が先頭切ってるんスか。まぁ、いいけど。は喫茶店って言ってったスよ。」
俺がそう言うと、ちょうどのクラスの前についたようで、桃先輩は勢いよく教室に入った。
「おかえりなさいませ〜、ご主人さ…ま…?」
そう言ったのは確かにだった。
オフショルダーのメイド服に、白のニーハイ。と、なぜか頭には猫耳を生やしている。
そんなを見て赤面する桃先輩と、三白眼をさらに見開く海堂先輩。
「あ…来てくれたんだ…ね。」
も気まずそうにもじもじとミニ丈のスカートを弄り、視線を逸らした。
「じゃ、じゃあ、こっちのテーブルに座ってて…?」
そう言って奥のテーブルに俺たちを案内すると、はパタパタと走り持ち場へと戻った。