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裏・テニスの王子様♡

第8章 蜜柑/幸村精市


《夢主side》

「精市さんでも、三賀日はテニスお休みするんだねぇ」

1月2日。初詣からそのまま私の家に直行し、部屋で寛ぎながら不意に私はそう言った。

「なんだよそれ。俺、テニスばっかりやってる訳じゃないんだけどな。」

本を読みながら精市は困惑した表情で答えた。

「ふふっ、知ってるー」

私はゴロゴロと寝転んだまま、精市の方へと一回転した。
すると、ちょうど足を伸ばして座っていた精市の右足にぶつかる。

「へっ、へへっ、精市〜」

私はギューッと精市の右足に抱きついた。

「酔ってるの?さっき飲んだ甘酒のせいかな。」

初詣の際に神社で配っていた甘酒にはもちろんアルコールは入っていなかった。

「なーんかさ、お正月ってだらけちゃうんだよねぇ」
抱きついた右足に顔をすりすりと擦り付けながら私はそう言った。

「俺からすればは毎日だらけてるように見えるけど。」
そう言って、精市はクスッと笑った。

「ひどーい!」
怒ったふりをして体を起こして、精市を睨みつける。

「はいはい、よしよし。」
私の眉間に寄った皺を親指で撫でる精市は、さながら犬や猫をじゃらす飼い主のようだ。
そんなことをされて顔を緩める私も、精市にしたらさながらペットの様なのだろう。

精市と付き合ってもうすぐ2年。
バレンタインの日に、玉砕覚悟で私から告白したけど、まさか付き合うことになるなんて思いもしなかった。

「精市は私のどこが好きなの?」

時々不安になってこんな質問を投げかける。

「俺に従順なところ。」

その度に精市は毎回同じように答えた。

「私は精市のぜーんぶが大好きだよ!」

私がそういうと、嬉しそうに声をあげて笑う精市がたまらなく愛しい。


以前、卒業後のプランについて聞いたことがあった。

「プロになるよ。」

そう即答した精市の表情はいつにも増して真剣だった。

「すごいねぇ…私はとりあえずフリーターかなー」

それに対して精市は何も言わなかった。


☆☆☆

部屋で寛いでいた私が「みかん食べる?」と聞けば、「もらおうかな」と答える精市。

「精市さんでも、みかん食べるんだねぇ」なんて言うと、「俺の事なんだと思ってるの?」と、また困惑した表情を浮かべた。

「ふふ、今持ってくるねぇ」

そう言って私は一旦部屋を出た。



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