第7章 コピーセックス/跡部景吾・樺地宗弘
《夢主side》
私が景吾と付き合ってから1年とちょっと経った。
最近景吾は、ノーマルなセックスだと満足いかなくなってしまったようで、毎回変わったことを求めてくるようになった。
「おい、。今日は俺様の家へ来い。いいな。」
景吾にそう言われたのは、お昼に一緒にご飯を食べているときだった。
景吾がわざわざ自分の家に呼ぶのは、私の体を求めている時だ。
今日はどんなプレイをするんだろう。そう考えると、不安になりつつもちょっと期待に胸を膨らます自分がいた。
そして、夕焼けの空が広がる時間。私は景吾に導かれる如く、景吾の家へと向かった。
華美な装飾が施される景吾の部屋には何度来ても慣れることなく、私はキョロキョロと見渡してしまう。
「何してる?こっちに来い。」
景吾は、ひとりで寝るには広すぎるベッドの端に座り、低く色っぽい声で私を呼んだ。
その声に呼び寄せられるように私は景吾の腕の中に潜り込んでいった。
そのまま目を瞑って景吾からのキスを待つが、なかなか私の唇に景吾の唇が触れてこない。
「景吾…?」
私は目を開けて景吾を見上げた。景吾は怪しげな笑みを浮かべて、私の顔を見下ろしていた。
「キス…しないの?」
私は続けて問いかけた。
「アーン?しねぇよ。俺は、な。」
私は首を傾げて聞き返した。
「俺はってどういう意味?」
「ふん。おい、樺地。」
不意に景吾がそういうと、背後から「ウス」という声が聞こえた。
「え…え!?樺地くん!?どこから…」
驚きを隠せない私を、景吾は可笑しそうに見遣った。
「樺地には、俺の触り方、お前のいい所、全部コピーさせてある」
「は…?何言ってるの…?」
「樺地。俺は休んでるから、を悦ばせてやれ。」
そう言って景吾は、ベッドから少し離れて置いてあるソファに腰掛けた。
「ウス」
理解が追いつかず固まっている私に、樺地くんが優しくキスをした。
「!?」
景吾がいつもするように、唇にキスをした後、首を伝って髪の毛の内側に手を入れてかきあげ、隠れていた耳に口付けをする。
これは確かに景吾のやり方だけど、目を開けると目の前にいるのは無表情の樺地くん。
景吾はというと、そんな奇妙な光景を、まるでフランス映画でも見るかのようにグラス片手に優雅に眺めていた。