第1章 1杯目
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タバコの火を消し、ベルモットに近づく。
何か話しかけようとしたら後ろの男から
声が掛けられた。
「初めまして、ですよね。
バーボン。これが僕のコードネームです」
「初めましてだと思う。
私はポール、ベルモットが会わせてくれるって
事は外で会うこともあるのかな?
外では香水か、乃々華って呼んで欲しい」
「……成程、僕は安室透です」
「透くん、了解。
で、ベルモット。会わせたい人って彼?」
ベルモットを見ると、私達のやりとりが
面白かったのか口角を上げながら頷く。
今まで紹介された事がある人で
組織の人間ってのはいなかったから
何かがあるんだろうけど。
「そうよ。
アナタ達、今日から恋人同士で少し潜ってもらいたい所があるから」
「………それは随分急だね」
「そんな話聞かされてませんがね」
「そりゃあそうよ、今初めて言ったもの」
クスクスと笑いながらベルモットが話す。
この動作ひとつひとつが女性らしくて
やっぱり凄い人だと思ってしまう。
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