第1章 1杯目
.
ベルモットの事だから、ジンくんが言った様に
新しいターゲットの可能性がある。
でも、会わせたいと言う事は違う気もする。
考えても仕方ないと思い、ジンくんの隣に座り
カバンに入れていたタバコを咥え、火をつけた。
「勝手に隣に座るな」
「いーじゃん、ケチ」
「虫唾が走る、さっさと避けろ」
こういう言い合いは、何年も前からだ。
お互いに憎まれ口を叩き、銃口を向け、向けられ
それでも割と近くで仕事をしてきた。
ジンくんはどう思ってるか知らないけど
私はジンくんの事が好きだ。
好きと言っても、恋人とかではなく家族の感覚。
ぷかぷかと煙を浮かべながらベルモットを待つ。
まだそんなに時間は経ってないから来るわけが無いけど。
やっぱり待たされると、不思議と時間が遅く感じてしまう。
「………はー、ベルモット早く来ないかな」
「そうだな、早くどっかに行け」
「それはもうジンくんが帰った方が早くない?」
ジンくんと話をしたり、しなかったり。
十数分後にベルモットと、見た事ある男が
ベルモットの後ろを歩いてこちらに来た。
.