第1章 1杯目
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この人は最近会ったし聞きすぎて
不信感を持たれたら元も子もない。
あ、この人。
最近誰かに撃たれてなかったっけ?
「はあ」
ひとつ、ため息を吐く。
いい加減、アドレス帳だけは整理しないとダメだな。
これでは今日の足が無いじゃないか。
歩いて帰ってもいいけど、ダルすぎる。
「ジンくん、なんか足ない?」
「知るか」
「だよねー」
ウォッカを借りようかとも思ったけど
それでは本当に頭を撃たれてしまうかもしれない。
仕方ない、タクシー呼ぼう。
————そう思った時に着信が入った。
「はーいもしもし♡
アナタから着信なんて珍しいね、ベルモット」
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