第1章 1杯目
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「ねーえ、ジンくん。
なんか楽しい事ない?飽きちゃった」
「………テメェの頭に一発入れてやろうか?
かなり面白え事になると思うぜ」
「アッハハ!ジンくんジョーク?
そんな事出来ないくせに♡」
ちゃんとした歳は興味が無いから知らないが
おそらく年上だろう、ジンくんを今日もからかう。
こんな事をしても許されるのだ。
だって
「クソ、なんでお前なんかがあの方のお気に入りなんだ。
ベルモットでさえ手に余るのにな」
そう、私はボスのお気に入りだから。
小さい頃から父と母に厳しく
ボスに気に入られる様に育てられた。
色目でバカな男から情報を抜くなんてザラだし
組織の名前は出さずとも、パトロンを用意するなんて事もお手のものだ。
「あ、ジンくん。今日ヒマ?」
「お前の為の時間はねえよ」
「んもう、つれないなー。
ジンくんと一回でもいいからシテみたいのになー」
「………バカ女の為に、バカ男でも用意してやろうか?」
「もー、冗談通じない男はモテないよ。
………なんか冷めちゃった、帰る」
そう言って私は携帯を取り
情報が欲しい男の名前を漁る。
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