第2章 2杯目
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————、さん、乃々華さん」
私を呼ぶ声が聞こえた気がして目を開ける。
「………透くんだ」
「はい、透です。
風邪引いちゃいますのでお風呂に入って
きちんと服をきて寝ましょう。
お湯は貯めたのでもう入れますよ」
「……ん、」
「………困ったお嬢様だ」
眠くて動きたくないのを察したのだろう。
有無を言わさずお姫様抱っこをされて
お風呂まで連れていかれた。
お風呂でシャワーを浴びせられて
少し目が冴えてきた頃、口を開いた。
「透くんて結構意地っ張り?」
「ん?そうですかね?自分では分かりませんが」
「なんか、そんな気がした」
「乃々華さんには言われたくないですね」
そんな物言いをして、2人で湯船に浸かった。
暖かくて、心地いい。
「……ふう」
思わず声が出てしまった。
湯船に浸かるのなんて数ヶ月振り、とかかもしれない。
いつもはシャワーで済ませてしまう。
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