第4章 同級生
ほんの少しだけ体力が落ちていたようにも見えたが、勘の良い唯はすぐにいつもの調子を取り戻していった。
ーーあの日以来。
棘もパンダも代わる代わる見舞いに行ったが、主として彼女を見ていたのは同性でβの真希だった。
俺は、逃げたのかもしれない。
でもそれで良かったんだ。
αである自分は、唯の側にいない方が彼女の為だと。
メッセージを見た真希はすぐに医務室まで来て唯の付き添いを代わってくれた。
真希が何かを察したのか唯に頼まれたのか、3日間の間は特にふたりきりで彼女と関わる事はなかった。
唯は、以前と変わらず柔らかに笑う。
でも時折、ふとした瞬間に見せる憂のある顔に。
胸が掻き立てられた。
思わずこの手を伸ばしたくなる。