第4章 同級生
家入の背中を見送って、棘は医務室のドアノブに手を掛けた。
握った金属は酷く冷たく感じる。
棘はその場でポケットのスマホを取り出した。
連絡先は“禪院真希”。
[唯の付き添いを頼みたい]
送信とタップして、スマホをポケットに仕舞った。
真希の事だ。すぐに既読が着くとは思っていない。
でもこの後、αの俺がずっと側にいるよりも、彼女の為かもしれない。
棘は僅かに躊躇し、けれどそのドアノブを握る。
今一番辛いのは、俺じゃない。
ーー彼女自身だ。
なるべく、不器用でもいいから。
側に居たい。
友だちとしてでもいい。
でもきっと俺は、この状況に耐えられない。
誰かの番になってしまった唯を、
自分を拒絶する彼女を。
いつかこの手で壊してしまいそうで。