第4章 同級生
「……あぁ、そう、」
けれど2、3歩歩いて、立ち止まった。
少し考えながら棘を振り返る。
「狗巻」
言われて顔を上げる。
「ツナ?」
ただ、真っ直ぐに棘を見て、家入は告げた。
「番を解消するか否かは、風音が決める事だ。それだけは、覚えておいて欲しい」
棘は言われた意図に目を見開く。
番関係を解消する方法ーー。
番関係のαの同意。
もしくはより強く濃いαの協力。
「しゃけ」
家入の視線が痛く棘に刺さる。
それは言われるまでもなく当たり前の事。
でも、胸が抉られた気分になる。
そう。それは唯の問題。
ーー番でも何でもない、
同級生でしかない俺には関係のない事。
好きだと告げる事すら出来ない自分には、
その選択に関わる理由すら存在しない。