第3章 唯一の真実
顔を上げる事も出来ない唯に、眉を顰め少し寂しそうに笑い掛ける棘。
「こんぶ?」
何かを察したのか、大丈夫か訊ねた棘は立ち上がる。
「ツナマヨ」
言ってカーテンを開くと、そこには綺麗な青空が広がっていた。
眩しさに目を細めて顔を上げれば、棘は唯に背を向けて開き切らないようになっている窓を少しだけ開く。
「いくら」
顔を上げた唯を見てから距離を取り、病室の壁にもたれ掛かるように棘は背を預けた。
何も言わないでそこに居てくれる棘に、唯は溢れる涙を両手で拭って。
「…ごめ……、……ご、めん……棘くん…っ」
小さく絞り出すように唯が呟くと、棘は静かに首を横に振った。柔らかく笑ってから、ほんの少し下を見た棘の表情は前髪に隠れてわからない。
「おかか」
膝を抱えて、止まらない涙に俯く。
「……っ、……ぅ…」
嗚咽を漏らして泣く唯を、棘はそこに居て静かに見守るだけだった。