第2章 君を想う
軽く吐いた溜息が聞こえた。
「唯、あんま無理すんなよ。今はまだしばらく寝てろ」
真希の言葉に唯は顔を上げる。
ここは医務室だ、と今更ながらに気付いた。
「家入さん呼んで来る。棘は、しばらく唯に着いててやれ」
「しゃけ」
握られたその手のぬくもりは、やっぱり彼だった。
何だかとても安心する。
「パンダは職員室。日下部か悟に知らせて来い」
「了解〜」
言ってふたりは唯を見て、真希もパンダも軽く手を上げる。
後は家入さんに、と言う事だろう。
「ありがとう。…真希ちゃん、パンダくん」
唯は小さく、ふたりに感謝を述べる。
助けに来てくれたのは、たぶんこの3人の同級生だ。もし、あの時助けてもらえなければ、きっと…もっと酷い事になっていたんじゃないかと思う。
真希はピタリと足を止めた。
「否。礼なんて言われる筋合いはねぇよ」
「すまんな、唯。俺たちは何もしてやれなくて」
唯は首を横に振るが、ふたりはまた来ると静かに部屋を出て行った。
「後は、当人同士で話し合え」
そう、言い残して。