第2章 君を想う
呪術界は一般の世とは一線を画した世界。
αとαの血が濃いβ、3ヶ月に1度の発情期〈ヒート〉と言うマイナスを抱えながらも能力としてはαに次ぐ優秀なΩが多いとされている。
唯は典型的なΩだった。
αに次ぐ優秀な術式を持って生まれ、一族からは呪術師になる事を望まれて育った。
問題は何も無い。
3ヶ月に1度の発情期〈ヒート〉も他のΩに比べれば軽いもので、αが多いこの呪専に入学しても然程の不便は無かった。
でもそれは、抑制剤が身体に合っていたから。
唯のΩである体質が特段変わったものだった訳ではない。
唯もまた、ただのΩだ。
頸を噛まれれば、αの番となる。