第1章 日常
『次、伊藤様とお連れ様4名。もうラウンジでお待ちだ』
「設定は?シャワー入るからそっちに音声入れて。ベッドメイキングよろしく」
扉が閉まった数秒後、先程のアナウンスは簡潔に業務連絡を伝える。
それを聞きながら、優菜は股から溢れ出るモノが床を汚さぬよう手で押さえながら浴室へと向かった。
『乱交レイプ、本気で嫌がって欲しいそうだ。レンタルは拘束具、ローション、電マ、ディルド、撮影機器の2クール』
「儲かりそうだけどハードね」
次の客の概要を聞いた優菜は眉を寄せながらも身支度を整える。
髪は…次が2クールかつレイプもの、汗もそこまでかいていなければ今回は洗わないの一択。
さっととかして纏めると、蛇口を捻りお湯を出した。
「ちなみに次2つの後空き枠だっけ?」
『さっき埋まった。今日もフルだ、頑張れ』
「…ハイハイ」
うんざりとした声色で返事をすると、彼女は腟内の精液を掻き出すシリコン製の器具で中を洗い
身体にボディーソープの香りを纏わせ足早に浴室を後にする。
お疲れ様ですと目も会わせずにすれ違う清掃員は優秀で、数分のシャワーの間にベッドメイキングをしっかり終えていた。
身体の水分を拭き取ったバスローブを脱ぎ、用意された下着と服に袖を通す。
化粧を直し、水分補給をするともう優菜の休憩は終わりだ。
「他に洗濯物はありませんか」
「大丈夫です、ありがとう」
浴室の掃除、水切りを終えた清掃員は
バスローブやシーツを抱え頭を下げて部屋を出ていった。
その数分後
「おー!マジでいる!!先パイ!マジでこの子ヤっちゃってイイんすか!!?」
「しかも超可愛い!!ヤバい!俺もう勃って来た!!」
乱暴に開かれたドアから顔を覗かせたのは、見るからに若い…20代前後の男が5名。
既にガヤガヤと騒がしい男達から聞こえてくる会話からは、彼らが退室するまでに相当の無理を強いられそうな予感が漂う。
「これ撮ったヤツってここ来れば見れるンすよね!!一回いくらなんすか!?」
「指名なしでヤるだけなら45分で3万だな」
「高っけぇ~!!!」
一人の男の手元には、赤いランプが点滅するレンズ。
それは今、怯えたように顔を歪ませる優菜の姿をしっかりと捉えていた。