第1章 日常
それから10分後丁度に焦らしきったそれを射精させ、優菜は只野弘(元童貞)に別れの挨拶を告げ送り出した。
ちなみに。
45分のひと枠の後、キャストは15分という短時間で身支度を整え次の客を迎える。
次の枠が空いている場合、終了5分前のアナウンスにて延長するかを問われる事がある。
延長は30分でひと枠と同じ料金となり、事前予約であってもその場での延長であっても
時間も料金も変わらない。
また、時給制のキャストの場合毎回延長のアナウンスが入り、延長の場合は1指名にカウントされる。
それとは別に時間超過のペナルティも存在する。
時間終了後に退室がない場合
5分ごとに5000円の追加料金がかかり、10分後には店のスタッフが強制退室させる為部屋へと入ってくる。
只野弘(元童貞)が提案されたのはこの時間超過料金であり、本番行為がなければ次の準備は5分で良いと判断した優菜の策略と思われる。
破廉恥なセックス好き女かと思えば
集団レイプ被害に合った悲劇の女子高生となり
はたまたドM属性のイキ狂い女に成り果てたかと思えば
清純派ぶるしたたかな女狐だったりする。
そんな彼女も、新人の頃はこの延長制度で酷い目にあった事がある。
伊藤のような団体客が延長に延長を重ね、数時間に渡る無茶な連続行為をその身に受けた。
指名折半制であれば儲かる団体客も、時給制であれば何人相手でも1時間5000円。
2枠に止まらず5枠も相手をし、5時間分を2時間45分で働いたと少し休憩を挟みたい所だが
時給制には予め決められた1時間以外の休憩は存在しない。
その後も絶倫やハードプレイの客に延長され続け
店だけがボロ儲けするという悲劇を経て、今の彼女は出来上がった。
『いけるか?次大宮様、"いつも通りで"だそうだ』
「大丈夫、部屋は自分で直すわ」
無表情でほぼ乱れのないシーツを伸ばし、マウスウォッシュで口をゆすぎリップを塗り直す。
いつも付けている筈だったネックレスも外し、ジュエリーボックスへとしまった。
時計を見れば、入室1分前。
「いつも通り、ねぇ…」