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施春姫

第1章 日常




「優菜ちゃん!あの!僕!!今日も!来てしまって!!」
「ありがとう。来てくれたらなって思ってたから…凄く嬉しい」


本番有り。
生・中出し可能な性風俗を利用する客層は様々だ。


「これ!!似合うかなと!思って!買って参りました!です!」
「え…私に?開けてみても良い??」


例えばこの客。
只野弘(タダノ ヒロシ)、24歳、大学院生。
親が金持ちの元童貞。童貞は優菜に捧げた。


「是非とも!あぁ、でも恥ずかしいな!センスが!ないんだ僕は!!」


カッチリとした固めの材質の紙袋。
そこに印字された文字は中身がハイブランドのアクセサリーである事を示している。
なるべく行為に及ぶ時間を減らしたい優菜は「なんだろう…」と首を傾げ、慣れない風を装い時間をかけて中の小箱の包装を解いた。


「わぁ…綺麗!私…プレゼントなんて貰ったの初めてなの」
「優菜ちゃんに!かかか、限って!そんな事は!!有り得ないだろう!です!!」


小箱に納められていたのは、白銀に輝くネックレス。
この輝きはプラチナだろうか。
小ぶりなチャームで光を放つダイヤも、ブランド名から察するに本物だろう。


「そんな事ないんだ、本当に。皆入って来てすぐ…そういう事しようとするから。弘くんだけよ、私なんかにプレゼントくれたの」
「そそそそそれは!光栄であります!!ありがとうございます!!」


嬉しそうにネックレスを握り、上目使いで只野弘(元童貞)を見上げる優菜の目は涙で潤んでいた。

勿論
彼女の話は行為までの時間を引き伸ばし、女慣れしていないこの客の心を掴む為の真っ赤な嘘でしかないのだが。


「ねぇ、弘くんこれ付けて?弘くんに付けて貰いたい…な」
「ぼ、ぼぼぼ僕で良いでありますか??!了解でござる!!」


汗だくになりながら、受け取ったネックレスの留め具を弄る只野弘(元童貞)は
小さすぎるそれに加え、慣れない動作に更に汗の量を増やした。

これにかかる時間まで計算しての"お願い"であれば、この女は床だけではなくやり手なのかもしれない。


「嬉しい!ずっと付けてるね。弘くんとずっと一緒に居るって思えるから…」


そう言って客に抱きつく優菜のジュエリーボックスには、ずっと付けている設定のアクセサリーが他にも多数眠っている。


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