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施春姫

第1章 日常





髪をブローして貰いながら、優菜はスキンケアを終えた肌に化粧を施していく。

下地にクッションファンデ、シェーディングにチーク。
平行気味に眉を描き足し、自眉は眉マスカラで髪と同じブラウンに染め上げる。
白い肌に映えるピンク系のアイシャドウを上瞼にそっと乗せ、捨て色のない優秀なパレットから涙袋を際立たせる色を選びポンポンと指で馴染ませる。
ビューラーでくるんと上げた上睫毛には、多少の汗では崩れないウォータープルーフのマスカラを一度塗りし
目尻と睫毛の際に優しい印象のブラウンでアイラインを描き足し、崩れ防止のフェイスパウダーでフィニッシュだ。


「優菜さんお化粧上手だし早いですよね」
「そなの?ありがとう…でもこのやり方あってるのかわかんないんだよね」


待機時間もなく、業務終了後は疲れきり即部屋へと戻る優菜にとって
こんな束の間の会話くらいが気を抜いて話せる唯一の時間であった。


「わかります~!でも元が綺麗だとメイクもしがいがありそうですよね。肌もこんな綺麗だったら…乾燥で乗り悪いとか肌荒れとか優菜さんなった事ないでしょう!」
「常に女性ホルモン出してるからじゃない?…あとこういうのとか」


羨ましいと頬を膨らます介助スタッフに示すように、優菜はスムージーの容器をくるくると回しながら飲み干した。


優菜の予約も取りにくい売れっ子である一因として、その容姿があげられる。
華奢な印象ではあるものの、薄いウエストからは想像も出来ないようなEカップの胸。
小さめで桜色の乳に小ぶりな乳首は男のロマンを実現したような身体だろう。
ぷりんとした尻の肉は脚との境が明確な程に上を向いており、小柄ながら手足は長い。

陶器のように透き通った白い肌には、大きなタレ目がちな目とすっと通った鼻筋。
色気を漂わせる厚めの唇は、行為以外の接客中は常に口角を上に上げていた。


「絶対それだけじゃないですよ~…これで無整形とかズルい…そりゃナンバーワンな訳ですよ…」
「うーん…ありがとうで良いの、かな?」
『只野様入室5分前。準備は出来たか?』


楽しいガールズトークはこれにて終了。
前の客で疲れきった優菜はげっそりしながら、大丈夫とアナウンスに返事をした。



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