第1章 日常
『只野様、今回も設定は特になしだそうだ』
「はーい。…一回で満足してくれれば良いんだけど」
狭い浴室に運び込まれた椅子、そこに腰掛け気のない返事をする#NAME1は
シャワー介助のスタッフに髪を洗って貰っていた。
その間崩れた化粧を一度オフし、軽く身体を洗う。
『入室5分前にまたアナウンスする、それまでしっかり休め』
「…はーい」
腟内に残った精液を掻き出し、入り口だけでもと
良い香りの泡でそこを撫でた。
「これでまだ21時過ぎとか…地獄だわ」
「優菜さんは売れっ子過ぎて、過酷ですよねぇ…」
トリートメントを纏わせた髪を目の粗い櫛でとかしながら、シャワー介助のスタッフは苦笑う。
次の客は22時入室。
営業終了時刻は26時。
基本的に空き枠がない程人気を博する優菜は月の内の25日間を、13~26時まで客を取り続けて過ごす。
キャストの身体に傷を付けなければ何でも有り。
そんな店【heaven】で働く優菜は連日日に20万以上の大金を稼いだ。
指名料、5000円。
1クール45分、3万円。
一人目以降は指名料がかからず、2~3名目までは一人につきプラス2万円。
3名以降は5名まででプラス1万5000円。
指名料はキャストがそのまま受け取り、利用料金は店とキャストが折半である。
レンタル品の料金は全て店が持つシステムの為料金の説明は割愛する。
先ほどの客のように、プレイ中に撮影した動画は店内のブースにて撮影者のみが閲覧出来るシステムとなっている。
視聴料はブースで視聴する場合は使用料金含め1動画4000円。
これも店とキャストが折半だ。
基本的には一人で利用する客が多い為、全ての枠が指名客で埋まれば
キャストは日に13人の客とセックスする事となる。
3万×1/2×13人+5000円×13人=26万円。
ピルによる出血期間の休業を除く、25日の稼働で月の収入は650万円。
毎月ピルの処方や性病検査、家賃、食費、光熱費として15万円が徴収される仕組みだ。
それを差し引くとすると、優菜は年に約7800万円を手にする。
更には先ほどのように数名で利用する客が週に何組か入る事で追加の収入となる。
この女、とんだ高収入女である。
一見は。